解体工事(解体工事業)で許可を取るには?

建築業は、許可を受けた建設業の種類の工事だけを請け負い、営業することができます。

業種は29種類に分類されており、該当する職種は全て許可を受けなければいけません。
(軽微な工事、附帯工事、下請け工事に出す場合を除く)

ということで、今回は「解体工事で許可を得るには?」ということで解説していきます。

必要な資格や、指定学科も全て記載しますので、解体工事で許可を得ようと考えている業者様は是非とも参考になさってください。

ちなみに解体工事は平成26年6月に「とび・土工・コンクリート工事」から分離されて新設されました。


そもそも「解体工事」って何だろう?

基本的なところから確認します。

建設工事の種類建設業の種類建設工事の内容建設工事の例示
解体工事解体工事業工作物の解体を行う工事工作物解体工事

建設工事の区分についての考え方を、建設業許可事務ガイドラインより引用したものを以下に記載します。
対象の方は参考にしていただければ幸いです。

① それぞれの専門工事において建設される目的物について、それのみを解体する工事は各専門工事に該当する。 ② 総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物や建築物を解体する工事はそれぞれ『土木一式工事』や『建築一式工事』に該当する。

以上のものとなります。


それでは、解体工事で許可を得るための要件を確認しましょう。

① 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること
② 適切な社会保険に加入していること
③ 専任の技術者がいること
④ 請負契約に関して誠実性があること
⑤ 財産的基礎又は金銭的信用があること
⑥ 欠格要件に該当していないこと

目次

① 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を備えていること


2020年10月に建設業法の改正あったところで、今は適正な経営体制ともいわれますが、経営上の管理責任者という呼び名のほうが馴染みがなるかと思います。

その対象者は以下のものとなります。

「建設業許可申請・変更の手引き – 関東地方整備局」より

https://www.ktr.mlit.go.jp/ktr_content/content/000827696.pdf

簡単に言うと、許可を受ける会社の社長が5年間以上、建設業の役員をしているということです。

こちらも詳しくはこちらの記事で解説しています。
経営業務の管理責任者を詳しく解説(令和2年改正対応)

② 適切な社会保険に加入していること

2020年10月に施行された建設業法の改正点です。

建設業の許可を受けるには、適切な社会保険に加入していることが義務付けられました。

建設業法で該当する社会保険は、健康保険、厚生年金保険、雇用保険の3つです。

国土交通省から出ている下記表が非常にわかりやすくまとめられています。

「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」についてより

https://www.mlit.go.jp/common/001242518.pdf

③ 専任の技術者がいること

営業所にはその工事について詳しい、いわゆる専任技術者が常勤する必要があります。

その専任技術者になるためには一定の実務経験や資格等必要になってくるわけです。

どのような経験、資格等が必要なのかは、建設業許可の種類(一般建設業 or 特定建設業)や許可を取得する建設業の業種(29業種)によって異なります。

一般建設業特定建設業
① 国家資格保持者① 国家資格保持者
② 学歴(指定学科)+ 実務経験
 ・大学 or 高専 +3年以上の実務
 ・高校 or 中学 + 5年以上の実務
 ・専修学校 +3年以上の実務+専門士 or 高度専門士
 ・専修学校 +5年以上の実務
②一般建設業の要件 + 2年以上の指導的監督実務(請負代金4,500万円以上の建設工事)

※指定7業種(土木、建築、電気、管、鋼構造物、舗装、造園)は認められていないので注意
③ 10年の実務経験ーーーーーーーーーー
④ 国土交通大臣の認定④ 国土交通大臣の認定

このようにいくつかの要件がありますが、このセクションでは対象となる国家資格について掘り下げていきます。

専任技術者(解体工事)になるために必要な資格

【一般建設業】
・二級土木施工管理技士(土木) ※1
・二級建築施工管理技士(建築) ※1
・二級建築施工管理技士(躯体) ※1
・技能検定(とび・とび工)
・民間資格(解体工事施工技士)

【特定建設業】
・一級土木施工管理技士 ※1
・一級建築施工管理技士 ※1
・技術士試験(建設・総合技術監理(建設)) ※2
・技術士試験(建設「鋼構造及びコンクリート」・総合技術監理(建設「鋼構造及びコンクリート」) ※2

※1 平成27年度までの合格者については、解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要です。
※2 解体工事に関する実務経験1年以上又は登録解体工事講習の受講が必要です。

以上が、解体工事で専任技術者になるための資格の一覧となります。

・特定建設業の専任技術者の資格を有するものは、一般建設業の資格も有します。
・埼玉県版 建設業許可申請・届出の手引き(令和4年4月)をもとに作成しました。

次に資格以外で条件を満たすための、「指定学科+実務経験」

ざっくりと言うと、解体工事で対象となる学科は、「土木工学又は建築学に関する学科」となります。

詳細な学科名は多岐に渡りますので、こちらの記事で詳細に記載してあります。
専任技術者になるために「指定学科一覧表」

④ 請負契約に関して誠実性があること

法人又は役員などが不正や不誠実な行為をすることが明らかでないこと

①不正な行為とは
例)請負契約の締結や履行に際して詐欺・脅迫・横領等の違反行為のことをいいます。

②不誠実な行為
例)工事内容、工期、天災等不可抗力による損害の負担等について、請負契約に違反する行為

他にも建築士法や、宅建業法の違反によって免許等取り消し処分から5年を経過しないものは誠実性がないとみられます。

⑤ 財産的基礎又は金銭的信用があること

許可を得るには財産的基礎又は金銭的信用を有していることも重要です。

具体的には下記内容となります。

一般建設業の許可特定建設業の許可
次のいずれかに該当すること次の全てに該当すること
①自己資本の額が500万円以上であること①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
②500万円以上の資金を調達する能力があること②流動比率が75%以上であること
③許可申請の直前過去5年間許可を受けて建設業を継続して営業した実績を有すること③資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本の額が4,000万円以上であること
※設立後の最初の決算期は未到来の場合は、資本金が4,000万以上であること

既存の会社の場合は申請時の直前の決算期の財務諸表、新規の会社のときは創業時の財務諸表で判断します。


⑥ 欠格要件に該当していないこと

許可を受ける会社はもちろんのこと、役員や支店の営業者が次の欠格要件に該当していたら当然許可はもらえません。

細かに建設業法で規定されていますが、簡単にいうとこのような内容です。

・申請書に嘘を書いたり隠し事をしていていないこと
・破産後に復権を得ていること
・許可の取り消しから5年経過していること
・警察のお世話になってから5年経過していること
・暴力団でないこと

次の要件に該当したら許可はもえません(建設業法第8条より)

①) 許可申請書又はその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、又は重要な事実の記載が欠けているとき
② 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者又は破産手続開始決定を受け復権を得ない者
③ 不正の手段により許可を受けたこと等により、その許可を取り消され、その取消しの日から5年を経過しない者
④ 許可の取消しを免れるために廃業の届出をしてから 5年を経過しない者
⑤ 建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼしたとき、あるいは危害を及ぼすおそれが大であるとき、又は請負契約に関し不誠実な行為をしたこと等により営業の停止を命ぜられ、その停止期間が経過しない者
⑥ 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった 日から 5 年を経過しない者
⑦ 次の法律に違反し、又は罪を犯したことにより罰金刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は その刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
(ア) 建設業法
(イ) 建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、職業安定法、労働者派遣法の規定で政令で定めるもの
(ウ) 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
(エ) 傷害、現場助勢、暴行、凶器準備集合及び結集、脅迫又は背任の罪
(オ) 暴力行為等処罰に関する法律の罪
⑧ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第 2 条第 6 号に規定する暴力団員、又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から 5 年を経過しない者(以下暴力団員等という。)
⑨ 暴力団員等が、その事業活動を支配する者

※刑の執行猶予を受けている者は「刑に処せられた者」に該当します。


いかがでしたでしょうか。

今回は「解体工事で許可を取るには?」というテーマにて解説させていただきました。

許可を受けずに工事を行なってしまうと、重い罰則を受けるのはもちろんのこと、取り消し要件に該当し、今後5年間許可を得ることができなくなってしまいます。

そうなってしまうと会社の存続はもちろんのこと、社会的イメージダウンも避けられません。

十分すぎるほどにご注意下さい。

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